Interview

Location:カラオケロック池上 大田区池上3-31-10

池上にゆかりがあるミュージシャンが集まったコレクティブ『NIGHTPONDO』。メンバーが昔から通っていたという地元密着の場所は、SANDOからから程近いカラオケボックス。店長さんの計らいで用意してくれた軽くライブなんかもできそうなパーティルームで聞いた結成の話。

※Text:Tetsuya Nakajima Photo:Koichi Tanoue
インタビューの内容は「HOTSANDO Isseu14」より

中嶋(以下N) 「NIGHT PONDOってどうやって結成したの?」

吉木(以下Y) 「SANDOの天野光太郎がバンドをやりたいって言い出して。それでやるなら池上周辺の人たちでやりたいってなって。最初シモリョーくんに話をしたんだっけ」

N 「うんうん」

Y 「夜飲みながら話をしていて、。じゃあやりましょうかって。」

N 「なるほど。バンドのメンバーはみんな池上にゆかりがあるってこと?」

Y 「そうですね」

N 「メンバーは自然発生的に集まったの?」

Y 「うーん。というかSANDOが無かったら集まることは無かったんじゃないかな」

N 「あ、もともとこの4人は知り合いではなかったんだ?」

Y 「シモリョーくんは知ってはいたけど、今ほどは話してなかったな。他の二人はSANDOが始まりですね」

Nozomi Nobody(以下Z) 「私はシモリョーさんとは何度かご挨拶したことがあったくらいです」

シモリョー(以下S) 「すごい久しぶりにあったよね。会ったとき誰だっけ? ってなったもん(笑)」

Z 「そうそう。全然わかってもらえなかった(笑)」

N 「みなさんの音楽のジャンルって共通してないですよね?」

Z 「そうですね、結構バラバラですね」

N 「そういうときってどうやって合わせていくんですか?」

Y 「合わせるっていう感覚はないかもしれないです。お互いの持ち寄った素材をどう良くするか、みたいな」

N 「今、バンドはどういう動きをしていますか?」

S 「吉木くんが舵取りをしてくれたんだけど、メンバーは音楽で関わっていた仲ではなかったので、探り合いというか、そういう段階ですね」

Y 「このプロジェクト自体が頓挫しそうになったんですけど、そのときに、やめるのは簡単だけど、なんかダサいなって。形にするまではやらないと」

N 「うんうん」

Y 「あとこのバンドって“バンド感”みたいなのが無いんですよね。それが良いなって思っていて。今後別にメンバーが流動的に増えたりとかしても良いし。みんな形にこだわっていないっていうか」

N 「増えたり減ったりか。全員変わるときもあったり?」

Y 「いやぁどうだろうね(笑)。あるかもしれないね。出たり入ったりしてもいいんじゃないかなって。それがSANDOとも繋がる気もしていて」

N 「ふーん。面白いね」

Y 「シモリョーくんと電話でも話したんだけど、カナダにCrack Cloudっていうバンドがいて。音楽もやっているアーティスト集団みたいな感じなんだけど、コアメンバーはいるんだけど、総勢メンバーは30人くらいいて(笑)」

N 「え、なにそれ」

Y 「そういうのって結構面白いよね」

S 「コレクティブで音楽をやっている人っていうか。日本はバンド演奏っていうのが強いっていうか。もちろん僕もバンド好きなんですけど。ずっと同じメンバーで何十年も続けている美しさっていうか、そういうのがある。自分がそういうバンドだったんだけど、5人だったのが今は1人になっていて。逆にすごい楽になったんですよね。進むも止まるも自分次第だし、辞めても辞めなくてもいい。それで世界をみたときに、今吉木くんが言ったCrack Cloudもそうだし、Snarky Puppyっていうジャズバンドとかも、架空のメンバーはいるけど、居ないときは補助要員が入ってきて、いろんなところでライブしているみたいな。そういう自由なところがいいなぁって」

N 「コレクティブが近いのかな。海外が多いんだけど、現代美術でここ数年コレクティブっていう集団みたいなのがすごい増えてきていて。アトリエが同じだったりとか、展示しているギャラリーが同じだったりとか、そういうきっかけはあるんですけど、10人の作家の集まりみたいなのがあって。それぞれ個別で活動はしているんだけど、そのときだけそのメンバーでできる何かを発表するみたいな」

Y 「へぇ。でもそういうのって面白いよね。ライブ見て、次のライブ見に行ったらメンバー全然違うとか(笑)」

Y 「なんか流動的でみんなが集まれる場所があるといいなって、最近強く思っていて。それは音楽に限らずなんだけど。モノを作ったり、手を動かせる場所って意味ではこのバンドは、良い役割になるんじゃないかなって思います。例えばシモリョーくんが忙しいときは、違う人が入ってきて指揮を取ったっていいわけだし。たまり場みたいな」

N 「うんうん。実空間であり機会みたいな」

Y 「そうそう。屋号は『NIGHT PONDO』だけど、いろんなクリエイターが集まって」

N 「ミュージシャンじゃなくても良いんだもんね?」

Y 「そう。現代美術でもファッションでもなんだって良いと思う」

S 「そういう意味だと、やっぱりジャズって羨ましいなって思うんだよね。入れ替わり立ち替わり」

小美濃(以下O) 「ああ、なるほど(笑)。僕は逆にバンドへの憧れがありましたけどね。僕は毎晩一緒にやる人が違うから、バンドでツアーとかやばいよなって(笑)。ジャズは関わる人が多いようで少なかったりするんですよね。それこそ美術の人とか映像の人とかとは関わらない。だからいろんな分野の人と関われる場所があると良いですよね」